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2006年10月26日

第2回「ここが変だぞ『ジュニア日本文化検定』連続学習会」報告

ぴよです。本日10月25日夕方7時から、御所の前にある洛陽教会で第2回「ここが変だぞ『ジュニア日本文化検定』連続学習会」が行われました。以下はその報告です。

 今日はいいお天気でした。前回よりもたくさんの方が来てくださって、最終的には50人の参加がありました。会場が小さかったり、資料が足りなかったりと嬉しい悲鳴。いや本当に嬉しい。
 今日の講師は京都大学人文学研究所の高木博志先生。テーマは「京都の文化が日本の文化?―近代に作られた古都イメージ」。JRのポスターなんかでありますね、「そうだ、京都、行こう」ってやつ。あと「日本に、京都があってよかった」(真の京都人は決してこういうあからさまなことは言いません)とか。あの背景写真。綺麗ですね。いかにもNIPPON。美しい国って感じ。今日のポイントその1は、あのイメージはいつ作られたのか?というお話でした。
 明治20年代、西洋の美術史が日本の学問界に入ってくる中で、ギリシア/ローマ文化を古典古代とし、その流れをくんだ<国民文化>が各国に形成されるというヨーロッパ美術史の影響のもと「日本美術史」が形成されます。で、日本版ギリシア/ローマ文化として持ち上げられたのが奈良と京都。明治20年代から昭和の初期までに<古都>としての奈良と京都が作られて行く過程をささっと勉強しました。
 例えば、五重塔で有名な東寺。あれは江戸時代までは信仰の場であって、五重塔がある近辺はあまり重視されて来なかった。それが明治20年代(1890年代ごろ)になって「美術の場」としての東寺というイメージが出来上がって来ます。それから宇治の平等院鳳凰堂。あれも『平家物語』の「宇治十帖」に出て来る、「憂し」場所のイメージだったのが、1893年(明治26年)のシカゴ博覧会の頃には日本の<古典文化>である「国風文化」の建築としてのイメージが出来上がります。さらに、葵祭の齋宮行列に至っては昭和10年代に作られたものだったりします。
 で、こういうイメージ形成のためには歴史的に重要ではないことを強調して教えたり、史実ではない神話や物語を学校で教えてもいいということになっていきました。で、そんな観点は教育基本法成立以降、日本の教育界では否定されて来たのです。今また蘇りそうでやばいんだけど。
 
 そして今日のポイントその2は、「郷土愛=愛国心の図式はいつ作られたか?」というものでした。故郷を愛する気持ちがそのまま愛国心になるかというと、もちろんそんなことはありません。京都や奈良の場合はまだ郷土愛と愛国心がダイレクトに結びつきやすいが、会津藩(呼びかけ人の高橋哲哉さんの出身地ですね★)を筆頭とする旧幕府勢力の諸藩にとって、郷土愛をおおっぴらに喧伝することは明治初期には御法度でした。
 これががらっと変わるのが、1889年(明治22年)の大日本帝国憲法です。この時に大赦令というのが出されて、「国賊」が全部許される。西郷隆盛も会津藩も無罪放免。で、天皇の「臣民」としてみんな平等にされてしまいました。
 それ以降、戊辰戦争の顕彰やら各地の「英雄」(前田利家とか伊達政宗とか徳川家康とか)の顕彰が進んで行って、日露戦争以降にはすっかり「郷土を愛する心=愛国心」の図式が出来てしまいました。面白かったのが、この過程において「城」(姫路城とか松本城とか、地域のお城)の社会的役割ががらっと変わることです。それまで武士以外の人は入ることができなかったお城が開放されて、そこに農民の軍隊である師団が駐屯するようになる。それによって地元のシンボルとしてのお城がダイレクトに国家の軍隊と結びついて、「郷土愛=愛国心」図式の形成に一役買うようになる、というわけです。

 終わってからは会場から質疑応答やコメントがありました。問題だらけの「ジュニア日本文化検定」だが、このテキストで勉強して少しでも歴史に興味が出るのならいいのでは?とか、いやいやこういうテキストで勉強させられて染み付いていた知識が「美しい国」なんて言われた時に利用されたらこわいよ、とか、小学校ではこんなことになってます、とか、小学校の先生なめられてますやん、などなど、前回と同じくナイスなコメントや意見が続々。その後、今後の取り組みの提案や、教育基本法改悪を止めるために何が出来るかについて、主催者から提案がありました。
 歴史を勉強していて何が良いって、現在から自由になれることです。自分たちが勝手に過去に対して押し付けていたイメージとは全然違うものに出会えるなんて、長年付き合って来た彼氏の隠された(素敵な)本質を垣間みるみたい。いや、多分それよりもいい。
 そして、自分の故郷を愛していればこそ、その感情を盗まれてはいけないだろうと思うのです。教育基本法は古いなんていう奴がいるけど、教育基本法を改悪して持って来ようとしているものは、多分教育基本法よりももっとずっと古いぞ。
 今週日曜日には、京都スタディツアーを企画しています。詳しいお知らせはまたあんころに上げます。ので、関西周辺の方はゼヒゼヒお越し下さい。
posted by あんころ at 06:32 | Comment(4) | TrackBack(0) | 全国各地から
この記事へのコメント
詳しいご報告で分かりやすかったです!!
ジュニア日本文化検定って本当にやばい内容ですね。参加したかったです><

今週の日曜日の京都スタディツアーはすごく行ってみたいです!!
奈良に住んでいるので、「古都イメージ」については同じような空気を感じます。電車の広告など、、。大学も奈良市内にあるのですが、友人に「何で(大学)奈良まで来ようと思ったの?」と聞くとたいていは「奈良の歴史に興味があって」とか「日本文化が…」という返事でした。(入学して間もない頃)

あんまり深く考えたことがなかったので、スタディツアーはかなり興味があります。

ぴよさんへの連絡はどのようにとったらいいでしょうか??
Posted by 奈良人 at 2006年10月26日 12:04
おおう、なんて素敵なコメントでしょう。
そうですねー。ネット上で連絡先を明かすのもちょっと微妙なので、全国連絡会にメール(info@kyokiren.net)を頂けますか?あんころチームが受け取ることになるはずなので、その人に私の連絡先を聞いてください。ややこしくてすみません。よろしく〜。
Posted by ぴよ at 2006年10月26日 21:39
ほんまもんの京都はおもしろい!
スタディ ウォーク
10月29日(日)
午後1時集合(時間厳守)   
・ 集合場所 東山通り徳成橋(疎水の橋)のたもと(川端警察署北側) 
・ ・案内人  水野直樹さん
・        (京都大学教員)
 ・行き先  琵琶湖疏水夷川発電所(朝鮮人労働者が働いていた)
        ⇒水平社記念碑など岡崎周辺⇒耳塚
⇒東九条(解散後、希望者は東九条で焼肉)
 ・参加費  無料(バス代は各自負担)


主催 ジュニア日本文化検定の中止を求める会 (ええんやろかの会)
    TEL 090−6667−0483
http://sugakita.hp.infoseek.co.jp/newpage30.htm

連続講座 第三回
洛陽教会(寺町丸太町上がる)参加費500円
11月8日(水)  午後7時〜9時
きものを着ると女性はやさしくなる?
  ―京都の文化と女性―       
 森理恵さん(京都府立大学助教授、服飾文化史)

Posted by あんず at 2006年10月26日 22:08
>教育基本法は古いなんていう奴がいるけど、教育基本法を改悪して持って来ようとしているものは、多分教育基本法よりももっとずっと古いぞ。

 おお、よくぞ言ってくれました! 確かにそうですね。教育基本法に代わる教育目標に何があるのかというと、改正を目指す連中は、アナクロなブツを出してくるもんです。中には、”教育勅語”なんて前時代的な出してくる方もおられるくらいですから。”それのどこが新しいねん”と、思わずツッコミ入れたくなりますね。
 しかも、そう言うだけならまだマシ。そんな連中の中には学校経営者もいて、大真面目に”教育勅語”を児童に暗証させる幼稚園があったりする訳で。おお、こわ。こうした幼稚園の経営者は、何を考えておられるのでしょうかね?
 何はともあれ、改正を目指す連中の主張のおかしさと論理のなさを突くには、格好の材料といえましょう。
Posted by beautyport at 2006年10月28日 01:14
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