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2006年11月09日

じゅんりさんからの名古屋地方公聴会報告

じゅんり@奈良です。
8日に名古屋で行われた地方公聴会を傍聴してきました!(愛知のみちこさんに傍聴券を譲っていただきました。本当にありがとうございます(>m<))
(←地方公聴会の傍聴券は各党ごとに議席数に応じて割り振られているので、保坂展人さんの事務所にも問い合わせたのですが、社民党はわずか3枚なので、無理ということでした。)

会場外での抗議行動は下川潔さんが報告されているので、中ではどのようなことが話されていたのか報告しようと思います。

地方公聴会は映像記録はされないので、(議事録が後ほど公表されるそうですが)出来るだけ詳しく書きます!

まず、会場に入り、「傍聴注意事項」という紙を一枚渡されました。そこには次のようなことが書かれていました。
「議場における言論に対して賛否を表明し、または拍手をしないこと」
それに、傍聴者からの質疑は出来ないし、荷物の持ち込みも禁止だと決められているそうです。
なので、公聴会前日にみちこさんたちが作ったうちわ(「賛成」と「反対」の紙が裏表に貼られている)も、持ち込むことは出来ませんでした。

「公聴会」と言うからには、みんなの意見を互いに交換し合って聴くものだと思っていたのですが、実際はこのように全然違うものでした。
更に驚いたことは、傍聴人には(60人しか入れない)、意見陳述人の用意した資料さえ配られないということです。
そのため、意見陳述人が「資料の○ページを見てください」と言っても、私たちには何の話をしているか細部までは分からないようにされていました。
これって本当に「公聴会」なのか?と何度も思い、議論に参加できていないという疎外感まで感じました。
しかも、傍聴人の席は、意見陳述人や議員のいる席からはとても離れていたので、発言者の声が聞こえにくいという欠点もありました。
明らかに主権者を馬鹿にしているとしか言いようのない扱いでしたが、欠点ばかりあげていてもキリがないので、公聴会の内容に入ります。

まず最初に意見陳述人の発言がありました。
順に、岐阜大学教授の北俊夫氏、静岡大学の馬居政幸氏、三好町青少年健全育成推進協議会委員の伊豆原充氏、そして最後に、あんころの呼びかけ人の一人でもある東京大学教授の高橋哲哉氏でした。(ちなみに意見陳述人の氏名を書いた用紙も渡されませんでした。)
最初の北氏は、改正推進の立場から話されていました。
「私が外国に行ったとき、日本の伝統文化を外国の人に説明できなくて恥ずかしかった。外国の人と胸を張って交流できるよう、わが国の優れた文化を教え、その文化を見直す伝統教育が必要である。愛国心といえば、偏狭なナショナリズムの古いイメージばかりだから、自然環境保全などの新しいイメージをつくるべきだ。国家に尽くした先人の努力を学び、文化財を保全したり…」という話で、「能や歌舞伎の良さが今になって分かりました。」などとおっしゃいました。←教育基本法の議論とまったく関係ないですね。

(ここからつっこみです。)外国に行ったときに伝統文化を説明できなかったのはあなたの勉強不足であり、あたかも「日本人」全員が「伝統文化の教育」を受けていないから「日本文化」を説明できない、というようなことを言うのはやめて欲しいと思いました。改正派の人々は「伝統文化」ばかり強調するので、それに抗うために着物を着て抗議している方(すごい!)とこの日お会いしました。しかも、現に東京都などですさまじい日の丸・君が代の押し付けがされているのにも関わらず、その現状を無視して、「愛国心の古いイメージ」というのはどうなのでしょうと感じました。そして何故「自然環境を保全すること」が愛国心に結びつくのだろう…などなど批判は盛りだくさんです。

次の馬居さんの発言の趣旨は、「少子化も教育基本法のせいだ」というものでした。
どういうことかと言うと、
今の少子化の原因は、一人ひとりが帰属する社会に意義が見いだせなくて、個人の尊厳を重んじるあまり、(例えば、社会的な上層志向に乗っかる、会社で出世する等)家族をつくることを考えなかった。一人ひとりが国家を形成しているのに、公を軽視する教育が行われてきた。国を作るのは民だと言う事をリアリティを持って伝えなければいけないと力説し、離婚率や独身率の表などを持ち出し、説明していました。そして、「女性は子供を生めば、後はどうにでもなる」という発言もあって驚愕しました…。何てひどい差別発言でしょう。女性は子供を生むための道具だと明言したようなものです。そして、しきりに「国と自分との関係」を強調していましたが、後で高橋さんがそれを批判されていて、「国と個人の関わりを言うならば、エモーショナルな感情に訴えるように言うのではなく、主権者としての責任や政治教育をするべきではないのか」とおっしゃっていました。まさにそのとおりだと思います。

三番目の伊豆原さんは、今まで名古屋の小中学校の教員をやってきて、教育は時間がかかるのに成果を求められると現場が混乱する。待つという姿勢が失われてきた。そして、一番の弊害は国→教育委員会→学校の上意下達のシステムであり、議員の方々も「専門家に意見を聴いたからいい」というのはご一考いただきたい、現場の声に耳を傾けて欲しいと訴えました。

最後は高橋さんで、終始「教育基本法の改悪に反対」という立場で、すばらしいお話でした。保坂展人さんのブログ「どこどこ日記」にその全文が掲載されているので、引用します。

引用開始

「名古屋市公聴会における意見陳述」         高橋哲哉

私は政府提出の教育基本法案に反対する立場から、私見を述べさせていただきます。

 安倍晋三首相は、今臨時国会の最大の課題にこの教育基本法改正を掲げておりますが、今なぜ現行法を改正しなければならないのか、その理由は今もって不明です。教育に関する基本法の改正であれば、本来、児童・生徒、教職員、保護者など教育現場の当事者たちから求められ、その必要に応じて行なわれるのが筋ですが、今回はそうではありません。最近発表された東京大学基・学力研究センターの調査でも、全国の公立小中学校の校長の66%が教育基本法改正に反対という結果が出ています。今回の教育基本法改正は教育的理由からではなく、政治的意図から出ている点に大きな問題があります。

 安倍首相は、「戦後体制(レジーム)からの脱却」という政権課題の柱の一つとして教育基本法改正を掲げ、「占領時代の残滓を払拭することが必要です。占領時代につくられた教育基本法、憲法をつくりかえていくこと、それは精神的にも占領を終わらせることになる」(『自由新報』05年1月4・11日号)などと主張しています。しかし、教育基本法があたかも占領軍の押し付けによって生まれたかのようなこの議論は、根拠のない偏見にすぎません。

 私はここで、教育基本法の生みの親に当たる政治哲学者、南原繁が1955年に書いた「日本における教育改革」(『南原繁著作集・第8巻』)という文章を、安倍首相のみならず、政府案に賛成するすべての皆さんにぜひ読んでいただきたいと思います。

南原繁は、東京帝国大学の最後の総長、新制東京大学の初代の総長であり、当時貴族院議員を兼務し、「教育刷新委員会」委員長として教育基本法案作定の中心人物でありました。南原はこの文章で、教育基本法が「アメリカの強要によってつくられたものであるという臆説」が流布されており、「一部の人たちの間には、日本が独立した今日、われわれの手によって自主的に再改革をなすべきであるという意見となって現われている」が、これは「著しく真実を誤ったか、あるいは強いて偽った論議といわなければならない」と断じています。南原によれば、教育刷新委員会の六年間、「一回も総司令部から指令や強制を受けたことはなかった」のであり、教育基本法もこの委員会で当時の日本の指導的知識人たちが徹底した議論を行なってつくりあげられたものなのです。安倍首相の、「教育基本法は占領時代の残滓だからつくりかえねばならない」という主張は、すでに50年前、南原によって、「著しく真実を誤ったか、あるいは強いて偽った論議」として斥けられたものにほかなりません。

 南原によれば、教育基本法の根本理念は、「われわれが国民たる前に、ひとりびとりが人間としての自律」(ママ)にあります。教育の目的が「人格の完成」に置かれているのは、「国家の権力といえどももはや侵すことのできない自由の主体としての人間人格の尊厳」が中心にあるからです。これは、安倍首相が「教育の目的」を「品格ある国家をつくることだ」と言って、「国家のための教育」を打ち出しているのと反対です。

 ここから南原は、国家を頂点とする教育行政権力の役割を教育条件の整備に限定し、「不当な支配」を禁止した現行法第10条の意義を強調します。「戦前長い間、小学校から大学に至るまで、文部省の完全な統制下にあり、中央集権主義と官僚的統制は、わが国教育行政の二大特色であった」。したがって、教育をそこから解放して自由清新の雰囲気をつくり出すためには、「まず文部省が、これまでのごとき教育方針や内容について指示する代わりに、教育者の自主的精神を尊重し、むしろ教育者の自由を守り、さらに教育のため広汎な財政上あるいは技術上の援助奉仕に当たるという性格転換を行なったことは、特記されなければならない」。

 ところが政府法案では、現行法第10条の教育行政の役割限定の部分が削除され、さらに教育が「国民全体に対し直接責任を負って行なわれるべきものである」という部分も削除されて、教育は「国」と「地方公共団体」の「教育行政」が、「この法律及び他の法律の定めるところにより」行なうべきものとなっています(第16条)。第17条の「教育振興基本計画」と相まって、教育の主体をこの国の主権者である「国民」から「国家」へと変えてしまう改正案です。政府法案では、教育の主体と教育の目的も国家になる。国家による国家のための教育、国家の道具としての教育をつくりだそうとする法案だと言わざるをえません。

 法案の第2条「教育の目標」に「愛国心」が入ったのも、この枠組みの中にあります。安倍首相は一貫して教育基本法に「愛国心」を入れたいと言ってきましたが、その安倍氏が「国が危機に瀕したときに命を捧げるという人がいなければ、この国は成り立っていかない」(2004年11月27日)と述べていることは何を意味するのでしょうか。

戦後の日本政府が教育と愛国心を初めて結びつけたのは、1953年の池田勇人・ロバートソン会談のときでした。朝鮮戦争後の日本の再武装に当たって、日本国民の間に「防衛のための自主的精神」を育てるために、「教育と広報」によって「愛国心」を養う必要があるとされたのでした。今回も、六年の任期中に憲法9条を変えて「自衛軍」を保持し、集団的自衛権の行使を認めていこうという安倍首相の下で、教育基本法に「愛国心」が入れられようとしているのは偶然ではありません。安倍首相の認識は、「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。(教育基本法改正の目的は)これに尽きる」と述べた西村眞吾議員の認識と同じです。国家が愛国心をはじめ多数の道徳規範を「教育の目標」として定めた法案第2条は、21世紀の教育勅語とも言うべき趣があり、それによってこの法律は、「国家道徳洗脳基本法」と称されても仕方のないものになってしまうでしょう。

 南原は、1955年に、こうした動きに明確に反対していました。「近年、わが国の政治は不幸にして、一旦定めた民族の新しい進路から、いつの間にか離れて、反対の方向に動きつつある。その間、教育の分野においても、戦後に性格転換を遂げた筈の文部省が、ふたたび往年の権威を取り戻そうとする傾向はないか。新しく設けられた地方教育委員会すら、これと結びついて、文部省の連絡機関となる惧れはないか。[〜]全国多数のまじめな教師の間に、自由や平和がおのずからタブーとなりつつある事実は、何を語るか。[〜]このような状況のもとで、その意識していると否とを問わず、ふたたび「国家道徳」や「愛国精神」を強調することが、いかなる意味と役割をもつものであるかは、およそ明らかであろう」。

 じつは南原は、「国家道徳」や「愛国精神」によってではなく、現行の教育基本法の理念によってこそ、真理と正義、自由と平和を希求する「真の愛国心」が呼び起こされる、と考えていました。そして、次のように述べていました。

「新しく定められた教育理念に、いささかの誤りもない。今後、いかなる反動の嵐の時代が訪れようとも、何人も教育基本法の精神を根本的に書き換えることはできないであろう。なぜならば、それは真理であり、これを否定するのは歴史の流れをせき止めようとするに等しい」。

 政府提出の教育基本法案は、現行法の精神をまさに「根本から書き換え」ようとしています。主権者である「国民」による「子どもたち」のための教育を、「国家」による「国家」のための教育に変えようとするものです。私たちは、「いかなる反動の嵐が訪れようとも、何人も教育基本法の精神を根本的に書き換えることはできないであろう」と南原繁が述べた意味を、よくよく考え直してみる必要があります。教育は国家の道具ではありません。子どもたちも国家の道具ではありません。私は、教育と子どもたちを国家の道具にしてしまいかねない政府法案に反対します。

引用終了

高橋さんの意見陳述が終わったあと、傍聴席からは拍手がありました!!!(最
初の3人のときには拍手はなかったのに。)「拍手や意見表明はしてはいけない」という決まりがあったとしても、ここまで反対の意思を明確に出した意見陳述はなかったので、私も自然にしたくなって、かなりぱちぱちしました。(意見表明するなと言われたって、「公聴会」なんだからしてやる!と思って…)

傍聴席がこのような反応を示しても、議員の方々の反応はいまいちでした。というか、冷笑したような反応ばかりでした(社民党の保坂さん以外は。)猪口邦子氏は高橋さんに「法案の2条をよく読んでください」とまで、苦笑いで言っていました。
意見陳述人の馬居氏も、「私は高橋さんと意見はかなり違いますが」ということを何回も言い、それに似たことを議員の方々が3人程言いました。
ちなみに馬居さんは「教育基本法はさっさと片付けて、次の問題に進んで欲しい」「こんなところでとまっていてはいけない」と、これもしつこく繰り返してました(←許せません。こんなにたくさんの問題があるのに、さっさと片付けろとは何事でしょう。)教育基本法の理念を知らない人はまだまだたくさんいるし、国民的な議論にもそこまでなっていないというのに…。

保坂さんは、「愛国心と言うときの「国」は何を指すのか」、と質問主意書を出したところ、「成立したら発表する」という返答が返ってきたとおっしゃって、高橋さんに以下のことを質問されました。(質問と答えは私の記憶とメモに頼っています。。)
保坂:政府が主張するには、「国」とは統治機構を意味するものではなく「伝統や文化や郷土」を指すので、偏狭なナショナリズムにはならないと説明されているが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
高橋:統治機構を含まないというのは歯止めにはならないと思います。「伝統・文化・郷土」というのは「祖国としての日本」というイメージであって、戦中も「東条内閣を愛せ」という意味ではなかった。この言葉が狙いをもって使われるときには、感情に訴えるように言われるので、それこそ危険ではないか。
後、「他国を尊重し」ということばも歯止めにはならないと感じます。かつても「国際精神」と愛国心は両立すると教えられていたし、「他国の平和を維持するため」という理由で自衛隊を派遣するということにも繋がるのではないか。

という質疑がありました。「改正」派の人々はこの議論をどう受け止めるのでしょうか。

このような内容で、2時間に及ぶ地方公聴会は終わりました。
この日は議論されませんでしたが、大内さんが11月号の「世界」で書かれていたように、市場原理を教育に導入することの危険性は議論はまだまだされていないのではないでしょうか。(大内さんは「格差社会の拡大・固定化をもたらす教育基本法改定」という論文を書かれています。)私は斉藤貴男さんの「機会不平等」(文春文庫)という本を読みましたが、第一章の「「ゆとり教育」と「階層化社会」」でも、いかに経済界が教育に市場原理を導入しているかが書かれています。新自由主義と新国家主義の接合こそが問題ではないかと強く思います。

かなり長くなってしまいましたが、臨時国会閉会まで、何とか改悪を止めましょう!!
私は行けませんが、12日の全国集会にあわせて何か行動を起こそうかと思っています。
それと、一人でも集会に参加しやすい方法とかも話し合われているようなので、私もいい考えが思いついたら書きます☆

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!!
posted by あんころ at 21:02 | Comment(3) | TrackBack(2) | 全国各地から
この記事へのコメント
じゅんり@奈良さん,報告お疲れ様.
会場近くにいながら,公聴会の様子はわずかなマスコミ報道でしかわかりませんでした.
この記事で雰囲気も良くわかりました.

> 高橋さんの意見陳述が終わったあと、傍聴席からは拍手がありました!!!

高橋さんの意見は立派で本当に感動しますね.
Posted by 毛利邦久 at 2006年11月09日 23:14
公聴会の様子、ありがとうございます。マスコミはもっと報道すべきですよね。最寄りの書店では「教育基本法改正」関係の本が本棚の一番上の段にいっていて、本当の「最新刊」1冊だけが平積みになっていました。けっこう大きな書店で、気に入ってたのに、このような大きな問題をコーナーにしないなんて、書店の怠慢もしくはなんらかの意図があるのか・・・などと深読みしたくなります。
Posted by えせねこ at 2006年11月10日 23:55
コメントありがとうございます♪
マスコミや記者はいっぱいいたような気がするんですが、
報道は少ししかされていないんですね。。

それにしても、高橋さんの意見陳述の内容に冷笑ばかりする議員やその他意見陳述人がいたのは本当に悔しかったです。
もっと高橋さんを援護したかったのに!!
出来なかった…;;

拍手も持ち物も持ち込み禁止で、せめてみっちゃんの作ってくれたうちわを持ち込めれば…

でも、明日の集会でたくさんの人が集まって、改悪反対の意思を最大限に示したいと思ってます!!
明日は頑張りましょうね♪♪超楽しみ!!
Posted by じゅんり at 2006年11月11日 17:36
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教育基本法問題の地方公聴会の感想・・・
Excerpt: といっても、傍聴者のメモを参考に記事を作成します。 まず、地方公聴会そのものへの疑問 1.希望者は誰でも傍聴できる、ということはない。 2.傍聴者数に制限がある。 3.一般発言はできな..
Weblog: ★「お役所の星」は、休職中。。。(でも、なぜか多忙な毎日。。。
Tracked: 2006-11-11 00:33

教育基本法改悪反対全国集会ビデオプレスの映像
Excerpt: 教育基本法改悪全国集会ビデオプレスの映像を見つけました。 下のURLをクリックして下さい。http://vpress.la.coocan.jp/vptv.html
Weblog: 花織ちゃぶ
Tracked: 2006-11-14 21:50

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